SOLIDWORKSの強度解析の精度を高めるための準備|評価方法も解説

皆様こんにちは。武庫川(むこがわ)一郎です。
SOLIDWORKS Simulationで強度解析を行っても、解析結果が実物と合わず、精度に課題を感じる場面があるかもしれません。解析条件の設定の仕方や、得られた結果をどう評価すればよいのか、判断に迷うこともあるでしょう。強度解析の精度を高めるには、解析前の入念な準備と、得られた結果の妥当性を冷静に見極める視点が求められます。
こちらでは、解析と実物に差が生まれる原因から、精度を高める準備事項と評価方法をお伝えします。強度解析の流れをつかんでおくと、日々の業務でつまずきにくくなり、設計判断にも自信を持てるようになるはずです。
SOLIDWORKSを使った強度解析の精度にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧いただき、日々の業務へお役立てください。
解析結果と実物に差が生まれるおもな原因

強度解析の結果は、実物の挙動と必ずしも一致するわけではありません。ここでは、解析結果と実機にズレが生じる代表的な原因を3つ取り上げます。
荷重・拘束条件の簡略化による影響
実際の構造物では、シャフトと穴の接触やボルト締結など、力が複雑に伝わっています。解析では計算負荷やモデル作成の手間を抑えるため、こうした伝達経路をある程度単純化して扱うのが一般的です。
たとえば、接触で伝わる力を面全体への均一な荷重に置き換えたり、わずかに動く接続部を完全固定とみなしたりします。この置き換え方によっては、応力の分布や変形量に小さくない差が生まれます。
メッシュの粗さと応力集中の見落とし
解析対象を細かな要素へ分割して計算する手法を、有限要素法(FEM)と呼びます。この分割をメッシュといい、目の細かさが結果の精度を左右します。要素が粗いと、穴の周囲やフィレットの根元など、応力が急に高まる箇所をうまく捉えきれません。
結果として、本来高い応力が出るはずの部位を低く見積もり、危険な箇所を見逃す原因になります。一方で全体を細かくしすぎると計算時間が増えるため、必要な部位に絞った調整が求められます。
実物側の不確かさ(想定外の荷重・使用環境)
解析は、設計者が想定した条件のうえで成り立つ計算です。現場の使われ方が想定と異なれば、どれだけ丁寧にモデルを作っても結果は合いません。たとえば予期しない方向からの荷重、組立誤差による偏り、衝撃的な負荷などは、モデルに反映されにくい要素です。
こうした見えにくい条件こそが、解析では問題なかった部品が実機で壊れる引き金になります。前提を理解したうえで、条件にばらつきがある場合は、やや厳しめの設定で余裕を確保しておくと安心です。
強度解析の精度を高めるための準備事項

強度解析の精度は、計算を始める前の準備で大きく変わります。解析に取りかかる前に整えておきたい準備事項を見ていきましょう。
力のつり合いから荷重条件を整理する
荷重条件を感覚で入力すると、出発点からズレた結果を招きます。そこで頼りになるのが、高校物理でも学ぶ力のつり合いとモーメントのつり合いです。部品がどこから、どの向きに、どれだけの力を受けるのかを、シリンダーや隣り合う部品との接続部から順に整理しましょう。
外力と反力を釣り合った状態として書き出しておけば、入力すべき荷重の根拠が明確になります。この一手間こそ、解析精度を支える土台となります。
実物に即した拘束条件を再現する
部品が実際にどう支えられているかを写し取ったうえで、拘束条件を設定します。ボルトで固定される穴や取付面、回転するヒンジ部など、結合部ごとに力の伝わり方はさまざまです。動く部分まで完全に固定されたものとして扱うと、本来とは違う応力や変形が現れてしまいます。
一方、固定が緩すぎる設定も実態から外れる原因の1つです。現物の支持状態を観察し、どこが動き、どこが止まるのかを見極めて条件へ落とし込みましょう。
材料力学による事前予測で結果の目安を持つ
解析を実行する前に、おおよその答えを見積もっておくと判断の軸が生まれます。複雑な形状も、片持ち梁(かたもちばり)や引張部材(ひっぱりぶざい)といった単純なモデルに置き換えれば、材料力学の公式により応力やたわみを手計算できます。あらかじめ概算値を握っておけば、解析結果がその目安から大きく外れたときに、設定ミスへいち早く気づけるでしょう。
新明和ソフトテクノロジは、ものづくりの現場で積み重ねた知見をもとに、解析に必要なノウハウづくりを支援するソフトウェア会社です。荷重や拘束の条件設定に迷いがある方は、解析支援の取り組みをご覧ください。
解析結果の妥当性を評価する方法
解析で得た応力値そのものから、結果の良し悪しを判断できるわけではありません。結果が信頼に足るかの妥当性を見極めるための評価手順は、以下のとおりです。
安全率から許容応力を求める
材料には、降伏点や引張強さといった強さの基準値があります。ただし、この値をそのまま設計の限界として使うのは危険です。解析の簡略化や現場の不確定要素といったリスクを吸収するため、基準強さを安全率で割り、許容応力を導きます。
計算式:許容応力(σa)=基準強さ/安全率(Sf)
安全率は、製品の種類や壊れたときの影響度に応じて決めるのが一般的です。この許容応力が、発生した応力を評価するためのものさしになります。
発生応力と許容応力を比較する
評価の基本は、解析で出た発生応力と、先に求めた許容応力を突き合わせることです。発生応力が許容応力を下回っていれば、設計には余裕があると判断できます。一方、上回った場合は、安全率が不足しているサインです。
このときは板厚を増やす、補強を加える、形状を見直すといった対策に加え、荷重条件が過大でないかの再確認も検討します。数値を比べるだけでなく、なぜその差になったのかを突き詰めることが大切です。
手計算の検算で桁違いのズレがないか確かめる
解析値を鵜呑みにせず、手計算と照らし合わせておくと安心です。複雑な形状も、片持ち梁や棒に置き換えれば、材料力学の公式で概算を出せます。両者を比べて桁違いの差があれば、荷重の単位ミスや拘束条件の誤りを疑うきっかけになるでしょう。手計算はあくまで目安であり、完全な一致を求めるものではありません。傾向や桁がそろっているかを確かめることが、致命的な設定ミスの早期発見につながります。
新明和ソフトテクノロジでは、SOLIDWORKSの活用に役立つ技術情報を発信しています。解析の評価方法や設計のノウハウをさらに深めたい方は、技術者向けのお役立ち情報をご覧ください。
まとめ:SOLIDWORKSの強度解析の精度でお困りなら新明和ソフトテクノロジ

SOLIDWORKSの強度解析で精度を高めるには、解析と実物に差が生まれる原因を把握し、力学に基づいて条件を整えることが必要です。そのうえで安全率や手計算を用いて結果を評価できれば、試作前の手戻りを減らし、設計の妥当性をより高い精度で見極められます。ソフトの操作だけに頼らず、なぜその位置に応力が出るのかを理解することが大切です。
新明和ソフトテクノロジは、ものづくりの現場で培った知見を活かし、SOLIDWORKSの導入から解析の運用までを支援するソフトウェア会社です。解析結果に自信が持てない方や、精度向上の相談先を探している方は、お気軽にお問い合わせください。
【Q&A】SOLIDWORKSの強度解析の精度に関する解説
Q1.解析結果が実物とズレてしまうのはなぜですか?
A.接触やボルト締結を単純化した荷重・拘束条件の置き換え、応力集中を捉えきれないメッシュの粗さがあげられます。加えて、想定外の荷重や使用環境といった実物側の不確かさも一因です。
Q2.解析の精度を高めるには、事前に何を準備すればよいですか?
A.力のつり合いから荷重条件を整理し、実物の支持状態に即して拘束条件を再現することが基本です。あわせて、単純なモデルに置き換えた手計算で結果の目安を持っておくと、設定の妥当性を判断しやすくなります。
Q3.解析で得た応力が問題ないかは、どう判断しますか?
A.基準強さを安全率で割って許容応力を求め、解析で出た発生応力と比較します。発生応力が許容応力を下回れば余裕があると判断できます。



